モータースポーツの駆け引き

モータースポーツの駆け引きについて、ゲームデザインの観点から見てわかっていることをまとめてみます。

まず、レースゲームでよくある、「遅いCPU車」と「速いプレイヤー車」という構図と違って、
マシンの状態やプロドライバーのテクニックはほぼ一緒。だから、レースゲームのようにガンガン抜くことは無理です。

では、どのようにスピードの優劣がつくかというと、

まず、燃料(ガス)の重さが重要。軽ければラップタイムが速くなる。重ければ遅くなる。
燃料をどの程度マシンに入れておくかで、マシンのラップタイムは変わってくるが、
たくさん入れておいてから走ったほうが、ピットで給油する回数が減る。という形で優劣がつきます。

つまりゲーム性としては、

燃料(ガス)を少なめに入れれば速く走れる。ただし、ピットに入る回数は増える。
燃料(ガス)を多めに入れれば少し遅くなる。でも、ピットに入る回数は減らせる。

ということになります。このトレードオフがモータースポーツでも認識されているらしい。
個人的には、ホンマかいなという感じでした。燃料少なめでそんなに変わるの?と。

なので、ちょっと現実のデータを調べてみました。
F1のレギュレーション(規格、ルール)によると、
「マシンとドライバーを含めた重量はレース週末のいかなる時点でも691kgを下回ってはいけない。」
らしいです。ということは大体700kg。内、燃料については
「燃料タンクの容量は100kgに制限される。ちなみに、2012年では1レースを走りきるのにおよそ155〜160kgの容量が必要とされた。」

だそうなので、フォーミュラカーにおける車体重量の内、燃料の占める割合はおよそ1/7から1/8ということになります。691kgが燃料込みなのか謎なのでおおよそですが。

まあ、車体重量が1/7から1/8も変わるなら、速度も変わるのかなあという感じ。
ちなみに一般車のセダンとかの普通車の重量は、だいたい1400kgくらいが平均値っぽいです。
この場合は1/14になりますね。

話を戻します。

これにより若干の速度差が生まれ、徐々に差を詰め、
ようやく前方のマシンを捉えることができたので抜きにかかるとします。
でもこれが結構大変。

まず、もっとスピードを得るために、前方のマシンの後ろにぴったりくっついて風の抵抗を少なくする必要があります。これはスリップストリームとして有名です。前方のマシンが風よけの代わりになって、こっちのスピードが増すのです。

このスリップストリームの助けを得て、マシンをさらに加速させるスピードを得るわけです。
そして、スピードを得たら、そのままだと前方のマシンにコツンと当たってしまうので、ステアリングを切って横に並ぶ。

でも、この横に並ぶこと自体が危険です。

モータースポーツではレコードラインという最速で走れるラインがあります。
サーキットの横幅は広くても実際に走ってる部分はほぼこのレコードラインです。
レースとかでマシンが一列に並んでる走ってるライン、あれがレコードラインです。

で、このレコードラインじゃない部分は、レース中に走ると少し危険です。なぜなら、みんなが走ってない部分なので、タイヤカスだのなんだのという細かいゴミがいろいろとあるからです。
細かいゴミがあると、200km/hとかの高速で走っているマシンにとっては、致命的です。
滑ってスリップしたり、スピンしたりしてコースアウトしたりするからです。

でもレコードライン上を走ってる前方のマシンを追い抜くには、このレコードラインから一旦はずれなければならない。
追い抜くほうは、細かいゴミの上を走らなきゃいけないわけです。
ブレーキングのタイミングもレコードライン上と同じにギリギリまで待ってたんじゃ、ずるっと滑ってしまう可能性もある。
そういう危険を冒して、前方のマシンの横に並ぶわけです。

横に並んだら、今度はブレーキング勝負です。次のコーナーの入り口で、どちらが先にブレーキを踏むか。基本的には、先にブレーキを踏んだほうが抜かれます。

このブレーキング勝負で勝って初めて、相手を抜いたことなります。

しかも、これだけのステップを踏むには、それなりに長いストレートが必要になります。

コーナーが続いているようなところでは、抜くことが出来ないのです。
つまり、サーキット内に、「ここが勝負所!」というような場所があるわけです。
そこ以外では抜くことはほぼできません。
有名なモナコのモンテカルロサーキットは、サーキットの幅も狭くコーナーが多いサーキットなので、
最初にスタートした順位からほぼ抜いたり抜かれたりということが難しく、
最初にスタートした順位がとても重要だそうです。

以上のことから、実際のモータースポーツは、レースゲームより、抜くことがとても難しい。
最近は抜くことが難しいレースゲームも多いですけどね。私自身はそういうゲームが好みです。

すごろくレーシングは、そういうレースが出来ることを目指して作りました。
ブレーキングとかライン取りはないですが、
「ここが勝負所!」というところで仕掛けたりするゲーム性を入れてみたつもりです。

ただ、すごろくレーシングでは、ドライビングテクニックの部分は全部ジャンケンにしてしまっているので、
今後は、ライン取りや抜き方、ブレーキングをいつまでやるかなどの、
細かいドライビングテクニックも駆け引きできるような、
アクション要素のないレースシミュレーションというのも作ってみたいと思っています。

 

About hajimeck

ポケットアーツの企画担当   シミュレーションゲーム、オープンワールドのゲームが好き。 たまにオープンワールドをオープンソースと言い間違える。
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